ウニといえばといえば、なんといっても「棘」。
ムラサキウニとバフンウニの棘について、その構造の観察を行いました。
(written by Nobuko Toda)
【棘関節】
ウニの殻の外側にはたくさんの棘が生えています。棘は殻に固定されているわけではなく、自在に動かすことができます。移動の際に足のように動かしたり、外敵からの防御に使われたりすると言われています。
ムラサキウニの棘の根元を見ると、棘を動かすための筋肉があります。
棘をはずしてみると、棘の基部には凹みが、殻にはイボ状のでっぱりがあります。
この凹みとイボがピタリとはまる形で関節が構成されており、ボールジョイントのように360度どちらにも動かすことができるようにできています。
筋肉の内側には硬さを変えることのできるキャッチ結合組織があり、好きな方向に棘を向けてキャッチを固くすれば、棘をつっぱって岩のすきまにかくれるときなどにも、エネルギーを使わずに長時間同じ姿勢を保つことができます。
棘をすべて取り去ると、殻には棘がついていた大小のイボが並んでいます。
【棘の構造】
ムラサキウニの棘は長さ1~4cmほどの大小さまざまな棘が生えています。
直径は太いもので約2mmほどです。
棘を切断して断面にヤスリをかけると、年輪ような模様があらわれます。スカスカしたステレオム構造の部分と、中身の詰まった柱状の部分の繰り返しになっています。
バフンウニの棘 (長さ:約5mm 直径:約400μm)も同じように断面を見てみます。
バフンウニの棘はムラサキウニとはかなり違う構造です。
ウニの種類によって棘のつくりは異なるようです。他の種類のウニ、たとえばガンガゼやパイプウニなどの外見上も形が異なる棘の断面はいったいどのようになっているのか、またこれらの構造が棘の機能とどうかかわるのかなど、非常に興味深いところです。
【叉棘】
普通の棘のほかに、先端にハサミがついた「叉棘」があります。
長さは1~3mmほどで、柄の部分は骨のない柔らかい組織で自由に曲げることができます。先に端は三又にわかれた顎があり、ものをつかむことができます。
叉棘の役割は、体表面の異物の排除や、天敵に対する防御などと言われています。機能により形の異なる数種類の叉棘があります。ウニの種類によっては、叉棘に毒腺をもつものもいます。

刺激を受けると反射で顎が閉じるようになっているようで、本体から脱落した叉棘でもピンセットでつつくとピンセットの先に噛みついてきます。
下の写真は、入歯洗浄剤を使って軟組織を溶かし、嚢状叉棘の顎部分の骨片を取り出したものです。
【鉱物学的特性】
棘を含めたウニの骨格は、炭酸カルシウムの結晶であるカルサイト(方解石)でできています。
とくに棘については、カルサイト結晶のc軸と棘の長手方向が一致しています。カルサイトの劈開面はc軸と約45度の角度をなすことから、棘が横一文字に折れにくくなっている可能性が考えられます。
このような鉱物学的特性について、機会があればさらに詳しく調べてみたいと思っています。



