親子で楽しむわくわくウォッチング 為貝 和弘
今日5月5日は、「公益財団法人水産無脊椎動物研究所」主催「親子で楽しむわくわくウォッチング」が三浦半島の「公益社団法人観音崎自然博物館」で開催される日だ。天気予報では、午後から晴れとなっているが、朝方の我孫子の天気は曇り空で風も少しある状況、親と小学校低学年の子供さんの参加が多く、中には幼児を連れた方もいる。天気の良し悪しは参加者の皆さんが、海を楽しんで帰って頂けるかどうかを決める重要な要因の一つだ。この日は大潮で、干潮は11時40分頃、その他の条件はバッチシだから猶更だ。
この催しは、2010年から毎年ここ観音崎で開催されている。毎回申込を断らなければならない程の人気で、今年も申込が殺到した(募集定員は80人)。そして最終的に受け付けた人数がなんと140人。うん…?、数が合わない。実は事務局の担当者が病気で休んでいて、代行した人が仕組みをよく理解できなかった為か、こんな人数になってしまった。
ここまで、私がなんでこの観察会の事を書いているのか触れていないので、ちょっと説明する。私は「公益財団法人水産無脊椎動物研究所」内の同好会的組織「うみうしくらぶ」の会員で、尚且つ「観音崎自然博物館」で海洋ボランティアを10年位前からやっている。そして「公益財団法人水産無脊椎動物研究所」主催のこのイベントを「公益社団法人観音崎自然博物館」でやってみたらどうかと提案した張本人で、毎回このイベントのお手伝いをさせてもらっている。さて、ここからは当日の様子を簡単に述べよう。
- 観音崎自然博物館
- 採集場所(たたら浜)
我孫子の自宅を出て、いざ観音崎に向かったのは6時半。予定では9時10分には博物館に到着する予定だ。JRと京急を乗継、京急浦賀駅に到着。バス停で偶然「うみうしくらぶ」のスタッフと出会ったので一緒に博物館に向かい、予定通り到着。開催時間は9時45分なのに、既に参加者の姿がチラホラ。やる気満々だなあ。 急いで着替えを済ませ、博物館側スタッフでスケジュール確認ミーティングを行い、スタッフ各人の役割分担を把握する。午前は、8班に分かれ磯に出ての生き物観察。午後はイベント参加人数が急に増えた為、いつものように全体で「海の生き物の説明と海藻押し葉」を実施することが無理の為、プログラムに「カニのスケッチ」を追加。参加者を2つのグループに分け、交替でそれぞれのプログラムをやっていただく事にした。この「カニのスケッチ」は、前日に私が提案したプログラムだったので、この進行の責任者を任され、前日準備で大変だったというオチがあるのだが。
さあ、いよいよ待望の磯での生き物観察だ。天気は相変わらず曇り空だったが、これはこれで日焼けや熱中症の心配が少し減るし、生き物も晴れているよりは見つけやすいというメリットがあり、何事もプラス思考に解釈し、午前中のプログラムが始まった。最初は、『冷たい」とか「気持ち悪い」とか「変な匂い」とか言っていた子供達も、徐々に慣れてくると、次々と色々なものを見つけてきては、「これなに、あれなに」の質問攻め。ここでちゃんと説明してあげないと、せっかく芽生えた好奇心が萎んでしまうので、わかりやすく話をしてあげた。ちょうどアメフラシが多い時期だったので、最初、あの得体のしれない生き物に興味深々だった子供達も、そのうち「またアメフラシかあ」に変化してきましたけど。
その中で一番受けたのが、カニを集めること。午後の教材として、50匹程度のカニが必要だったので、子供達にカニをみんなで捕まえようと言ったところ、みんな岩を動かしては隠れているカニを次々と捕まえてくれました。楽しそうでしたよ。最終的には、100匹以上は捕まえたのでないかと。種類は、ヒライソガニ・イソガニ・オオギガニ・ヨツハモガニ・フタバベニツケガニ等で、ヒライソガニが一番多かった。
博物館で普段行われている体験学習では、採集した生き物は、博物館に戻る時には全て海に返すのが原則だが、今回はスケッチする対象として採集したので、バケツに入れて持ち帰る事にする。ただ、私が観察や説明する為に採集する時にも疑問に感じていることだが、採集した生き物を単に海に返しても果たして生きていけるのだろうかと。採集した場所が、その生き物にとって最適な生息場所だったのに、戻すときはまったく違う条件のところに返している事が多いのは事実。今回は大人の方から、この点について質問された。鋭い。ジレンマですとお答えしておきましたが。難しい問題だ。
- ヒライソガニ
- オオキガニ
- ヨツハモガニ
- 磯観察中の参加者
- アオウミウシ
- ゴマフビロードウミウシ
- 採集のウミウシをのぞき込む
- カニのスケッチ説明
- スケッチに夢中
- 海藻をレクチャー
- お母さんも楽しそう
- お土産のウミウシストラップ
博物館に戻って着替えてから、それぞれ芝生の上で楽しい昼食。ゆっくりと休憩した後、午後のプログラムの開始だ。半分はビジターセンター内で、博物館研究員の方が担当する「海の生き物の説明と海藻押し葉の作成」、残りが屋外で私が担当する「カニのスケッチ」だ。今回は「うみうしくらぶ」の仲間たちにもお手伝いをお願いした。
前日に、娘に頼んで観音崎で採集できる代表的なカニの絵を描いてきてもらっていたので、それをホワイトボードに貼り、それらのカニの特徴、カニの雄雌の見分け方、カニとカニダマシの違いとかを説明。結構受けが良かったと自己満足。次に参加者にケースに入れたカニとスケッチする為の道具や画用紙を渡し、参加者に自由に描いてもらった。大人の方も含めて皆さん結構真剣に描いてましたねえ。ヒライソガニをスケッチする人が多かったが、ヨツハモガニや中には一匹しか採集していないフタバベニツケガニを描きたいって女の子もいて、本当やる気満々。フタバベニツケガニは、5脚目が遊泳脚って泳ぐための形状で、またハサミが結構鋭いので魅力があったのかなあっと。スケッチしている作品を見ていると本当に面白い。私が説明した特徴をしっかり描いている子もいれば、ピカソ風な芸術作品に仕上げている子までいて様々。
ここでもう一つのプログラム海藻押し葉についても簡単に説明。使う海藻はユカリという紅藻。深さ5m程のところに生息しており、結構採集するのが大変。事前に採集して小分けしておいたユカリを真水を入れたトレイに1分程入れて塩抜きしたものを画用紙にうまく広げ、海藻押し葉を作成してもらう。この作業はその人の性格が本当によくでます。
海藻押し葉作成作業の前に、採集した海の生き物を簡単に説明し、それから褐藻のアラメをサンプルにお湯による海藻の色変わり実演をやっている。褐色の海藻が、お湯に入れた途端に緑色に変わるのを見せると、かならずワーと歓声があがる。そういう驚きが記憶に残って、海が育んでいるものを大切にするという気持ちが育ってくれればいいと思う。
誰も怪我する事なく15時前に予定していた全てのプログラムが終了。この怪我人をださないようにする事がスタッフの重要な役目の一つ。いくら海で楽しんでも、怪我しちゃったら元も子もないから。最後に博物館の中庭にみんな集まって、今日印象に残ったことなんか話した後、「うみうしくらぶ」から「ウミウシストラップ」のプレゼント。ガチャポンで販売しているもので、中に何のウミウシが入っているかはケースの外からわかりにくい。開けてみて、「アオウミウシだあ」、「変なウミウシだあ」と歓声が上がる。あれやこれやで「親子で楽しむわくわくウォッチング」は無事終了しました。来年もまた、5月に観音崎自然博物館で開催されます。来年はどんなドラマが待っているか楽しみ楽しみと。
終




















